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ジャワ原人の足跡?
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ヒトの足跡状くぼみ等高線図
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テクニック&ポイント
ヒトの足跡(らしきもの)を、原寸大の地図で表現。赤い線を高さの基準(0ミリ)として、足跡をあらわしている(等高線の間隔は1ミリ)。赤い線の内側は窪み、外側は盛り上がっている。地図の読み方を目に覚えさせよう。

「大」をたそうとして大発見
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なだらかな山があり、窪地や谷がある。ちょっと見には、普通の地図のようだ。が、じっくり仔細に眺めて見ると、何かちょっと違う。あれれ、なんだなんだ。縮尺が原寸で描かれているぞ。なんの地図だ? なんの地図なの?? えーっ!
ヒトの足跡だって? そんなのが、地図になるんかい……。いきものの足跡を等高線で見せられたら、だれだって驚く。「驚きと遊び」。どうも、それが森下さんの発想の原点らしいのだ。

インドネシアが好きで何度も出かけていますが、観光ばかりではなく、時には現地の人のお役に立ちたいと思っています。その願いが叶って、1992年の秋から冬にかけての3カ月間、バンドンにあるインドネシア国立地質研究開発センターで、地質図作成の指導をしたことがありました。これは、中部・東部ジャワの地下水脈などの調査研究をする日本とインドネシアの共同研究プロジェクトの一つで、JICA(国際協力事業団)が援助しています。このプロジェクトを率いたのは、現在は新潟大学におられる柴崎達雄先生です。

足かけ5年に及ぶこのプロジェクトはすばらしい成果をあげましたが、予想外の大きな発見もあり、話題を呼びました。それが、この足跡(らしきもの)の化石なんです。
発見は、全くの偶然でした。1990年7月31日。現地は乾期にはいっていて、熱帯ですから相当に暑い。調査の作業は、早朝からはじまります。調査チームの日本人スタッフが、干上がっているウイドダーレン川の川底に降りていった。そこで「大」の方の用を足そうとしゃがみ込んで地面を眺めているうちに、点々と窪みがあることに気がついた。

そこはやはり専門家ですね。彼は、それが水牛やシカの足跡ではないかと考えた。動物がいるなら、それを獲ろうとヒトも来るだろうということになり、周辺をくまなく探して、ついにヒトの足跡(らしきもの)を発見したというわけです。発見場所は、約50万年―25万年前の地層だと考えられているところです。しかも、100年前にジャワ原人の化石が発見された場所に近い。ということは?
しかし、これがヒトの足跡であるとはまだ断定されていません。ちなみに、ぼくの手元には、原寸の世界地図もあります。宇宙にまで広がって、しかも日々刻々、変化していく地図。あなたの手元にもあるでしょ? 広げるところがないのが、残念ですけど。
構成 三代川律子[フリーライター]


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