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海が干上がったらどうなるか
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日本地図です。
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テクニック&ポイント
悠久の活動を続ける地球を描くのに、およそ1カ月。この世界図にも、西北の方向からの光線を想定して影をつけている。
日本海溝から日本列島を見上げると
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海外へ行くとき、飛行機の窓から下を眺め、まったくの青い海が広がっていることに感動したことはないだろうか。外国へ行くことを「海を渡る」というが、まさにその言葉通りだと、妙に実感することがある。海を見飽きるということもない。しかし、たっぷりと水をたたえるこの海が、もし干上がったとしたら……。森下さんは逆転の発想で海底地図を描いた。海の存在そのものが不思議に思えてくる。

有感地震が起きるたびに、活断層やプレートの沈み込みなど、地殻の変動が話題に上ります。ふだんは気がつかなくとも、地球の内部ではいろいろな変化が起きているのだとつくづく思い知らされます。海の中でも、いろいろなことが起きています。海洋の調査研究は、さまざまな分野から行われていますが、私は地図を描く人間です。地球の表面の7割を占める海の「底」はどうなっているのだろうか。月面のようにクレーターが連続するあばた模様なのだろうか。あるいはまた、グランドキャニオンのような風景なのだろうか。そういう興味をもったのです。

まず、私たちの住んでいる日本周辺の海底は、どんな姿なのでしょうか。海上保安庁水路部発行の日本近海海底地形図を基に、描いてみました。日本列島の周囲は、日本海溝やマリアナ海溝などの海溝や海山群で囲まれています。日本海溝の深さは、8、9千メートル、マリアナ海溝は1万メートルを超えるということですから、たとえば日本海溝の最深部から伊豆大島あたりを見上げたら、すごい迫力かもしれません。なにせ、1万メートルもある絶壁が連なっているのですから。

世界図は、アトラスなどを参考にして描きました。地球の海底が、海山群と海嶺、海溝で成り立っている様子が、一目瞭然で見て取れます。ヒダヒダがまるで手術の後のように見えるのが、海嶺です。地球内部がいつでも活動していて、マグマが吹き出す裂け目が少しずつ広がって細長い山脈(海嶺)をつくっているのです。地球内部の動きまでは見えませんが、この海底地形図を眺めていると、見えないものへの想像力を相当刺激されます。昨年秋、アイスランドで起きた火山の噴火は、氷河を解かして大洪水を引き起こしました。アイスランドは、海嶺の一部が海面上に顔を出した島です。
地球は、水の惑星といわれます。太陽系の中で、唯一水をもつ星です。その水がもし蒸発してしまったら……。そんなことまで想像してしまいました。地球のダイナミズムは、まったく計り知れません。

構成 三代川律子[フリーライター]



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日本近海の海底地図、さらに世界の海底地図を紹介。
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