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新しい羽田空港は銀座の大きさ
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いろいろな方法で羽田へ
紳士の国の「有料おしぼり」を思い出す
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パスポートに空きがなくなるほど海外旅行しているなら別だろうが、ほとんどの旅行者にとって、国際空港は、期待と不安が入り混じる場所ではないだろうか。重い荷物を転がしながら、広すぎる空港の中をうろうろした経験もおありだろう。森下さんが初めて海外へ行ったのは、昭和52年。羽田空港からジャンボジェット機に乗って飛び立った。成田空港の開港はその翌年、昭和53年のことだ。

初めて海外旅行をしたときのいろいろな失敗を思い出すと、いまでも笑えてきます。羽田空港に着いたときから緊張していました。アンカレッジ経由でヨーロッパへ行く2週間の旅です。フランクフルトでブックフェアを見学し、ヨーロッパ各地の地図会社を視察する。頭の中は、期待でいっぱいです。

ロンドンのヒースロー空港に到着しました。ここでフランクフルト行きの飛行機に乗り換えるのです。「ちょっと用足し」と仲間に断って、トイレに行きました。用を足しながら、ふと前を見ると、おしぼりが置いてある。「イギリスはさすが紳士の国」と感心しながら使ってしまったから、サァ大変。見上げるようにでっかいおばさんが、両手を大きく広げて通せんぼ。

紳士の国のおしぼりは有料だったのです。日本円しか持ち合わせがありません。日本の小銭を出しても、“I have no money!”と叫んでも、外に出してもらえません。10分以上もおばさんと押し問答していると聞こえてきたのが、フランクフルト行きの搭乗案内。始まったばかりの旅なのに、トイレに閉じこめられて、俺はこれからどうなるのだろう、とがっくりです。
しかし、そこに「森下さん、どうしたの?」と、救いの神。これで一件落着となりました。それから20年。羽田空港新ターミナルの地図を作ることになりました。資料の図面を手にしたとき、最初に頭に浮かんだのは、ヒースロー空港で通せんぼをしたあのおばさんの、両手を大きく広げた姿でした。
ビッグバードと愛称がつく羽田空港はその名の通り、予想以上に大きな空港です。ターミナルビルの南北は、銀座1丁目から8丁目までの距離とほとんど同じです。たとえば、2番と22番ゲートを間違えてしまったら、相当な距離を移動しなければなりません。旅の失敗は、時にはいい思い出になりますが……。

構成 三代川律子[フリーライター]
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羽田空港(ビックバード)の大きさを実感。銀座にターミナルビルが建ったら。
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