J-CASTニュース連載 「外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い』」が本になりました

2021/09/21

J-CASTニュース連載「外岡秀俊の『コロナ 21世紀の問い』」(https://www.j-cast.com/domestic/covid_sotooka/)が書籍になりました。朝日新聞出版から「価値変容する世界」のタイトルで2021年9月17日に出版されました。

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連載は20年4月25日からスタートし、第1回は「ダイヤモンドプリンセス号で何が起きていたのか」。同号の船内で起きていたことを乗船していた客たちから詳しく取材し、なぜ感染が拡大したのか、何が感染阻止に必要だったのか、を浮き彫りにしています。連載はここからさらに英米、ドイツ、フランス、スペイン、台湾、中国など各国の感染状況と対策を現地の人たちのナマの声を中心に記事にし、各国のコロナ禍の現状を詳細に分析、日本に何が必要なのかを明らかにしています。

一方で、コロナは現代のグローバル時代のあらゆる側面で課題や問題点を浮き彫りにしましたが、政治や経済をはじめ科学、哲学、環境など、多くのフィールドで世界の専門家にインタビューして最新の知見を明らかにしています。また人類史と感染病の観点から欧州中世におけるペスト禍がその後のルネサンスを生んだことや約百年前のスペイン風邪で苦しんだ日本をとりあげ、学ぶべき「歴史の知恵」を指摘しています。

それにしても日本はなぜ台湾やニュージーランドのように被害を最小限で抑えることができなかったのか。その点についても連載では取り上げられています。第34回「科学報道の落とし穴」では、なぜ日本ではPCR検査が進まなかったかがテーマ。実はPCR法は2009~10年に騒がれた新型インフルエンザの際に医療関係者の間で注目されていました。しかし、厚労省の専門家組織が、全国の地方衛生研究所にPCR検査の体制を整備するよう提言したものの、全く実施されていなかったのです。これは政府、厚労省の怠慢であり、それに気づいていた日本の科学メディアのあり方の問題でもありました。そして、その国の怠慢ともいうべきことがなぜおきたのかについては、第4回の「民主主義の危機と地方分権」を読むと、戦後日本は中央が指令を出し、それに従って地方自治体が動くシステムが長く続いたが、コロナ禍ではそこが揺らいだ実態のあることが分かりました。たとえば、緊急事態宣言を最初に発出したのは北海道であり、自粛要請も北海道や大阪府でした。また、自粛からの出口戦略を最初に示したのも大阪府であり、国は結果的に後を追う形となったのです。なぜこうしたことが「歴代最長政権」「1強」と言われた安部政権で起きたのか。それは90年代からの省庁再編と内閣への権力集中による弊害が1強内閣で頂点に達したものだったとの指摘がされています。

44回に及ぶ連載は、残念ながら書籍1冊にするには記事が長すぎ、一部を抜粋しての書籍化となりましたが、内容の濃密さや読みごたえにおいては連載を十分引き継ぐものとなっています。